相続財産の把握・相続人の確定
相続の手続きでは、まず相続財産と相続人を確定することが重要になります。
どんな財産があって、誰が相続人になるのかがわからないと、遺産の分配の仕様がないからです。
ここでは、相続財産や相続人の調べ方などについて紹介します。
相続をスムーズに進めるためには相続財産・相続人の把握が重要に
相続をスムーズに進めるためには、まず相続財産の内容と相続人を確定することが重要です。
たとえば相続財産の内容がわからないと、何を相続することになるのかわからず、相続人としては不安ですよね。
また、そもそも相続人が誰かわからなければ、手続きを進めようがありません。
さらに、相続人の人数や立場によって一人一人が受け取れる財産の価額が変わる可能性がありますし、相続人全員で行う必要のある遺産分割協議のような手続きもあります。
実際に遺産を分ける手続きを始める前に、相続財産の内容把握と相続人の確定を行うことは不可欠な作業といえるでしょう。
相続財産の調査について
相続の手続きを進めるためには、まず相続財産の内容を知る必要があります。
場合によっては相続放棄の手続きを検討するべきよケースもありますので、相続が始まったらすぐに相続財産の調査を始めるのがおすすめです。
相続される財産
相続が発生すると、相続人は故人の財産に属するいっさいの権利義務を承継します。
こうして受け継がれる権利義務の中には、不動産や預貯金といったプラスのものもあれば、借金のようなマイナスのものも含まれます。
相続しても借金ばかりでメリットがない、というケースには相続をやめる、すなわち相続放棄を検討するべきかもしれません。
なお、死亡保険金については、受取人固有の財産という扱いになるため、相続財産には含まれません。
相続財産の調べ方
相続財産の内容について知るためには、通帳や通帳の残高証明、不動産の権利証、借用証など財産の中身や金額がわかるような資料を集める必要があります。
遺言がある場合も、遺言発生時と相続開始時とで財産の内容が変わっていたり、遺言で言及されていない財産が見つかったりする可能性もありますので、遺言があるケースでも調査は必要です。
借金などについては、故人宛の郵便物を調べることで存在が発覚する場合もあります。
相続人を確定するには?
相続人になれるのは、被相続人と一定の身分関係にある親族です。
ただ、故人が離婚再婚を繰り返していたり、養子縁組みをしていたりするケースなどでは、思わぬ人が相続人として現れる可能性もあります。
「うちは大丈夫だから」と油断せず、きちんと調査することが大切です。
相続人の決め方についての基本的なルール
相続人になれるのは、被相続人と一定の親族関係にある人で、かつ相続開始時に生存している人です。
そして、具体的な相続人の決め方については民法に、ルールがあります。
まず被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は常に相続人になります。
また、子どもがいる場合は、配偶者と並んで子どもも相続人になります。
子どもが亡くなっている場合は孫、孫も亡くなっている場合は曾孫が相続人になります。
一方、子どもや孫がいない場合は、被相続人の親(親が亡くなっている場合は祖父母)が、親や祖父母も亡くなっている場合は被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。
兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、おいめいが親に代わって相続します。
ただし、おいめいも亡くなっていた場合については、その子どもが相続することはありません。
相続人が誰かを調べる方法
相続人が誰かを確定するためには、被相続人の、生まれてから亡くなるまでの戸籍をたどる必要があります。
まず、被相続人が除籍されたことがわかる戸籍ないし除籍の全部事項証明を取ります。
ただし、ここでわかるのは被相続人が亡くなった当時の親族関係だけです。
また、戸籍は本籍地の自治体ごとに作られるものですので、何度も転居していたような場合は、前の戸籍まで見ないと本当の家族関係がどうなっていたのかがわかりません。
そこで、その戸籍に書いてある、被相続人の前の本籍を確認し、戸籍をさかのぼっていく必要があります。
また、相続人についても、相続時に誰が生きているのかがわからないと相続人になれるかどうかがわからないため、被相続人の戸籍と合わせて相続人の戸籍についても調べる必要があります。
相続人の中に相続したくない人がいた場合の処理
相続人の範囲が確定した後、「現金より借金が多かった」「故人と関係が悪かったので遺産を受け取りたくない」などの理由で、相続を拒む相続人が出るケースもあります。
相続するかどうかは相続人の自由に任されていますので、熟慮期間中に相続放棄をすれば相続人であっても相続をしないまま相続手続きから離脱することが可能です。
相続放棄した場合、相続放棄をした人は最初から相続人ではなかったものとみなされます。
欠格の場合とは違い、代襲相続が起きることもありません。
たとえば、被相続人Aに配偶者Bと子どもC・D、被相続人の兄Eがいたとします。
このケースで、通常相続人となるのは配偶者Bと子どもC・Dです。
この中のCが相続放棄をした場合、Cは最初から相続人ではなかったことになるので、相続人はB・Dとなります。
また、C・Dが相続放棄をした場合は、被相続人の配偶者B、そして被相続人の兄弟姉妹であるEが相続人ということになります。
相続の手続きのお困り事は弁護士に
相続財産や相続人の調査については、当事者が自力で行うのが困難なケースもあります。
そのような場合、弁護士に依頼することで調査をすべて任せることが可能です。
さらに、弁護士がいれば思わぬ相続人が現れた場合などトラブルが起きたときにも対応できます。
もし相続手続きについて不安なことがありましたら、気軽にご相談いただければと思います。